新築一戸建ての価格が高騰している中、中古住宅を買いリノベーションをして費用を抑えようと考える人が多くなってきました。
しかし、リノベーションと新築を比較しても価格の差はありません。
このたび北海道江別市で築36年の家を自邸としてリノベーションしたので情報を公開します。
※2024年の情報です。
目次
■リフォームとリノベーションの違い。
■私がリノベーションを選んだ理由。
■大変なポイント。
■まとめ。
■リフォームとリノベーションの違い。
【リフォーム】は、老朽化した建築物を新築に近い状態に戻すこととされています。
例えば中古住宅の間取りを変えずに外壁、屋根、断熱材、床材、壁紙、設備機器を新しくするのであれば新築よりも多少は安くなります。
【リノベーション】は、工事により既存のものよりも価値を高めることとされています。
住宅の基礎と構造材の一部だけを残して間取りも含め全てを変更することが多いです。
スケルトンリノベーションやフルリノベーションなどと言われます。
ここまで手を加えると新築住宅と同じ金額になります。
基礎と構造材を残すので、その分の金額は安くなると思われがちですが、
解体は重機による解体ではなく手壊し解体になり費用が上がり、
既存の構造材のバランスを取りながら新しい構造材を検討するため大工手間代が上がります。
結果、新築住宅と同じ金額となります。
高くなるパターンも・・・
■私がリノベーションを選んだ理由。
一般的な考え方をすれば基礎も構造材も新しい新築住宅のほうが耐久性は上がり、
基礎には断熱材を入れて断熱性も向上されるため、新築住宅のほうがおすすめです。
私は新築住宅と変わらない金額と分かっていて、敢えてリノベーションを選択しました。
理由は・・・
①引き継いだ家を残したい。
元は祖母の家で私が幼少期に過ごした家でもあったので、少しでも残して住みたかった。
②昔の良い木材を再利用したい。
昔の住宅は今では考えられないような良い木材を利用しています。
例えば現在の高級建具でも木目を貼ったべニアで作られています。
安い建具だとビニールです。
しかし、この住宅の既存建具は、なんと無垢材です。
この無垢材の引き戸をハンガー引き戸に変更して再利用しています。
階段の板も厚さ30mmの無垢材だったため、捨てずにダイニングテーブルにリメイク。
天板部分は大工さんに加工してもらいました。
③古材の雰囲気を生かしたい。
天井の表し梁は既存の梁を利用しています。
新築では醸し出せない良い感じにサビれているため手を加えていません。
新しい木材のみ着色し古材のサビ感を強調しています。
■大変なポイント。
建築費用の節約のため週末は私も工事に参加しておりました。
ずっと現場にいたのでリノベーションの様々な問題点もわかりました。
①図面問題
既存住宅の図面がない場合もあります。
今回は当時の図面がありましたが構造などの詳細な図面はなく、
残っていた図面も間取りや寸法が適当でした。
予め、ある程度予想し図面を作って現場で調整しなければいけません。
当時の図面
②解体後のトラブル発覚
計画段階では床下や天井裏などは覗くことしかできません。
実際に解体してみたら木材が腐っていたなどの想像できないトラブルが見つかることも・・・
解体前の天井裏の写真
③歪み
木造は湿気を含んだり乾燥したりを繰り返すことで歪みます。
今回は幸い歪みが少なかったので助かりましたが、歪みに合わせた調整が必要になることがあります。
リノベーションの見積金額はあてにならないと思ったほうが良いでしょう。
現場で調整が発生した分の人件費や材料が増えて金額が上がります。
また、新築住宅と違い現場での調整しながらの施工は大工さんの経験と技量が求められます。
きちんと施工できる大工さんは多くありません。
土台の水平を調整している写真
■まとめ。
住宅には様々な価値観があります。
金額や住宅性能よりも古民家に住みたい、相続した家を残したいなどのこだわりがあれば、
リノベーションもおすすめです。
また、2024年時点ではリフォーム、リノベーションの補助金もありますので活用すればお得になるかもしれません。
最後にビフォーアフターの写真を載せます。
Before
After
笠井啓介
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