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天井高さ2.4mって中途半端

 

住宅の天井高さの標準は2.4mですが何故2.4mが基本なのでしょうか?

天井高さ2.4mって、なんかすごく中途半端じゃないですか??

ヒトの視覚って不思議なもので、仮に天井高さ2.2mでも2.4mでも2.6mでも、高さの違いなんて言われないと全く気付かないです。

天井高さによって一体何が変わるのか解説します。   


目次

 

■天井高さの違和感。

 

■天井高さ2.2mのすすめ。

 

■天井高さ2.2mのテクニック。

 


■天井高さの違和感。

図は天井高さ①2.4m、②2.2m、③2.6mの展開図です。

「建具や窓の取り付け高さ」と「天井」とのすき間に注目して下さい。

 

展開図①

天井高さ2.4m。建具、窓の高さは2.0m、2.2mです。

天井からのすき間は375mm、175mmです。

なんだかバランス悪く中途半端に見えませんか??

僕はこのすき間がものすごく気になります。

「建具や窓の高さを天井高さと同じ2.4mに統一すればスッキリするのでは?」と思うかもしれませんが、建具を2.4mにすると、建具のバランスが崩れ空間に圧迫感が出ます。

 

展開図②

天井高さ2.2m。建具、窓の高さは2.2mです。

天井からのすき間はなく、とてもスッキリした洗練された空間に見えます。

 

展開図③

天井高さ2.6m。建具、窓の高さは2.0mです。

天井からのすき間は575mmです。

このくらいのすき間があれば、空間のバランスは良いと思います。

 

住宅設計は細かなバランスの調整が大切です。

バランスが良い家は、違和感がなく、スッキリとして広く見えます。

 

 

■天井高さ2.2mのすすめ。

僕が設計する住宅は、天井高さ2.2mをおすすめしています。

ですが実際に勧めると、一般的な基準値2.4mよりも低い「天井高さ2.2mの住宅」に抵抗感があるクライアントが多いです。

難色を示す大半の理由は、「せっかくの夢のマイホームを建てるのに、賃貸住宅より天井の低い家は嫌だ」というものです。

賃貸住宅の天井高さは一般的に2.35mか2.4mです。

それよりも更に天井を低くしてもらっては困るという事です。

説得してまで「天井高さ2.2mに!」って事にはならないので、その場合はクライアントの要望に従った2.4mを基本に設計しています。

 

クライアントに提案をして承諾を得られなければそれまでですが、天井高さ2.2mをおすすめしたいメリットがいくつもあります。

この記事で何故天井高さ2.2mがおすすめなのか解説します。

 

・天井高さには意外と気付かない。

先述していますが、高さのメリハリのない一定の天井高さの空間において、天井高さ2.2mでも2.4mでも2.6mでも言われないと全く気付かないです。

僕の身長は178cmですが天井高さ2.2mでも全く低いとは思いません。

以前に担当してくれた身長190cm以上の大工さんにも聞きましたが、2.2mでも全く低いとは思わないそうです。

例えば小学校に行った時、天井が高いと思いますか?

学校の天井高さは3.0mが基本ですが、そのことにほとんどの人は気づかないです。

これは、日常生活において人の目線が真上になることが無いためです。

 

・奥行きを感じる。

部屋の広さによってバランスが変わるので、全て一概には言えませんが、天井高さ2.4mと2.2mの全く同じ20帖以下の空間に入った時、天井高さ2.2mの方が奥行きを感じるため広く見えます。

ヒトの視覚って不思議ですね。

 

・コストダウン。

高さが低くなることで体積が減るので、建築費のコストダウンになります。

もちろん、その体積分の暖房費も減ります。

建てる時だけでなく、建てた後においても金銭面でのメリットがあります。

 

・階段段数。

階段の段数も減らせます。

1段か2段減るくらいですが40坪以下の住宅は1,2段で空間の圧迫感が、かなり変わります。

 

天井高さ2.2mにすると,こんなに沢山のメリットがあります。

ハウスメーカーが天井高さ2.7mのコマーシャルをやっていますが、天井高さに気づかない、広く感じない、コストアップって意味ありますか??

もちろん、空間の広さバランス、メリハリによりますが…

 

 

■天井高さ2.2mのテクニック。

天井高さ2.2mにするには様々な細かいテクニックが必要です。

ただ単に天井高さ2.2mにしただけでは上手くいきません。

これは「吹き抜けがある」前提でおすすめしています。

吹き抜けの重要性については「吹き抜けはいる?いらない?」の記事で詳しく解説しています。

「天井高さが常に一定」「空間のメリハリがない」これでは全く広く感じません。

天井高さ2.2mの高さが抑えられた空間から突如として吹き抜けが現れる場面を想像して下さい。

開放感が増し、とても広く感じます。

吹き抜けを作れない場合は、リビングだけ天井を高くし(2.6m以上)開放感を演出することもできます。

 

建具や窓の納め方も非常に重要です。

建具や窓の高さは天井までにし、建具の枠は天井に埋め込み、窓は天井より高い位置に付け枠を隠します。

ここまで細かく考えないとスッキリした空間には見えません。

これは「建具をオリジナルでデザインする」前提でおすすめしています。

建具の重要性については「ダサい家の特徴」の記事で詳しく解説しています。

既製品の建具は2.0mが基本でハイタイプでも2.4mがほとんどです。

既製品の建具を使う場合は全体のバランスと予算を考慮し天井高さ2.4mで既製品建具2.0mを選ぶのが無難な選択になります。

 

「天井2.2m」と聞いただけで拒否反応を起こすヒトもいるので、そこまでゴリ押しするわけではありませんが、

天井高さ2.2mは僕のおすすめです。

 

笠井啓介

 


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