「持ち家か賃貸か」をインターネットで検索してみると住宅関係のサイトが上位に表示され、ファイナンシャルプランナーなどのプロっぽい人たちが、 あーだこーだ説明し「住宅やマンションを買ったほうがお得」だとか「トータル金額はほぼ変わらない」だとか、そういう結論を出しているサイトが目立ちます。
そりゃあ、そうなります。住宅などを買ってもらう目線で説明していますからね。
そんな住宅業界の嘘を設計事務所をやっている僕が全部暴露しようと思います。
目次
■経済的に考えてみると
・今の家賃を計算すると住宅ローンの方が安くなる?
・住宅ローンを完済したら経済的に楽になる?
・住宅は資産になる?
・実際に計算してみましょう。
■賃貸と持ち家、あなたはどっち??
■経済的に考えてみると
よく挙げられる経済的なメリットをなぜ嘘か解説しましょう。
・今の家賃を計算すると住宅ローンの方が安くなる?
これは嘘です。
仮に現在、夫婦と子供一人で家賃8万円の部屋に住んでいるとします。
今後、子供をもう一人予定していて、さらに家賃が上がるので、住宅ローン10万円くらいで固定資産税を考えてもお得。なんて言いますが、
(私がメインで活動している北海道札幌市でよくあるパターンです。)
子供が独立した後のことを全く考えていない計算です。
子供が12歳~20歳になるまでの間、個室を必要と考えれば、
たった8年間、家賃の高いところに住めば良いのです。
さらに早く子供が18歳で家を出るかもしれません。
その場合たった6年です。
多少家賃が高くても6~8年だけだと思えば耐えられそうですよね??
・住宅ローンを完済したら経済的に楽になる?
これは嘘です。
確かに建築材料の質は年々上がっているので木造でも耐応年数は80年。
100年住宅なんてワードもよく聞かれる時代です。
では住宅設備機器はどうでしょうか?
住宅ローンは35年を選ぶ方が多いですが、35年前のキッチン、35年前のお風呂、35年前の洗面台、35年前のトイレなど想像してください。
普通に考えて古いですよね?変えたいですよね??
ボイラーの寿命は平均10年です。ご存じでしたか?
もし取り付け後10年以上経過している場合は点検の依頼をおすすめします。
その他の設備機器にも寿命はあります。
壁紙の張替え時期はどうでしょう??
きれいに使っていても何となく触る壁ってあるものです。
35年住んでいれば少しずつ汚れていきます。
キッチンの天井の壁紙も換気扇を回しても汚れは蓄積していきます。
その他、コンロや暖房器具など挙げればキリがないほど挙げられます。
最低でも築30年で設備関係の見直しと壁紙の張替えをおすすめします。
外壁や窓も見直しできたら、なお良いでしょう。
もちろん家族構成の変化によって間取りの見直しもできたら完璧ですが…
見直しをすればするほどお金がかかりますよね?
ローンを完済した後でも、住み続ける限り維持するためのお金が追加で必要になるという事です。
それに比べ賃貸の場合、古くなったら新築に引っ越すという選択もできます。
・住宅は資産になる?
これも嘘です。
住宅は資産になりません。
現在の築20年木造住宅の価値は0です。
住宅の質は上がっているので20年後に多少価値が残ることは想像されますが、まぁ多少でしょう。
土地の価値は私の経験上、法務局から土地の資料を取り寄せ抵当権の情報を見る限り、北海道札幌市近郊の住宅街では40年前と現在ではそんなに変化していないことが多いです。
では今後はどうなるでしょう?誰にもわかりません。
どんどん少子化社会になり空き家が問題になる時代です。
マンションは投資にもなるなんて言いますが、株と一緒です。ギャンブルです。
もちろん自信があるのなら良いですが家族と住む家をギャンブルに使いますか?
先ほども言いましたが、少子化社会です。
働き方改革で在宅ワークが推奨されている社会で中心部の土地の価値は今後どう変化していくでしょうか?想像してください。
・実際に計算してみましょう。
北海道札幌市でよくあるパターンで計算してみます。
あなたも自分の住んでいる地域、家族構成で是非計算してみてください。
夫婦30歳子供一人2歳、今後もう一人予定とし、80歳までの50年間の計算です。
今回、火災保険は計算に入れません。
賃貸の場合
上の子が12歳になるまで子供部屋一つ(夫婦30歳~)
家賃8万円 10年=960万円
上の子12歳から下の子供が20に歳になるまで子供部屋2つ(夫婦40歳~)
家賃12万円 10年=1440万円
子供が独立し部屋が必要なくなる。(夫婦50歳~)
家賃5.5万円 15年=990万円
部屋が古くなってきたので新築の賃貸に引っ越す、バリアフリーも考慮(夫婦65歳~80歳)
家賃6.5万円 15年=1170万円
引っ越し費用
30万円×3回=90万円
住宅更新費料
2年に1回2万円 2万円×25回=50万円(地域によってかなり差がありますが)
足していきます。
960万円+1440万円+990万円+1170万円+90万円+50万円= 合計4700万円
<賃貸>
家賃合計 |
4560万円 (960万円+1140万円+990万円+1170万円) |
引っ越し費用 | 90万円 |
住宅更新料 | 50万円 |
合計 |
4700万円 |
持ち家の場合
土地と住宅(一戸建て)で3700万円とします。北海道札幌市近郊で一番多い価格帯だと思います。
そのうち3000万円を住宅ローンとし金利0.6%として計算=330万円
ボイラーの交換や住宅設備機器の交換リフォーム代など、まとめて1000万円
固定資産税 年8万円×50年=400万円
住宅ローン減税などもありますが、引っ越し費用や新築に必要な費用、火災保険、金利など、持ち家の場合はさらに金額が加算されると思われます。
足していきます。
3700万円+330万円+1000万円+400万円= 合計5430万円
<持ち家>
土地と住宅 |
3700万円 |
住宅ローン金利 | 330万円 |
リフォーム代 | 1000万円 |
固定資産税 |
400万円 |
合計 |
5430万円 |
賃貸か持ち家かで比較すると賃貸のほうが730万円もお得という結果になりました。
もっと細かく計算すると、さらに差は広がると思います。
■賃貸と持ち家、あなたはどっち??
設計事務所をやっているのに持ち家をすすめないのかと言われたら、
もちろん持ち家をおすすめしますよ。
経済的なメリットは賃貸と比べると多くはありませんが、住宅空間の質や居心地の良さ、家族の距離感など、建築設計に無限の可能性を感じ、真面目に取り組みたいからこそ誤魔化しが嫌いなだけです。
そこであなたに質問です。
服や車や家具など、価格重視で買いますか?
趣味など、こだわりがあるものはありませんか?
人それぞれだと思いますが、もし、こだわりがあるのなら
人生で一番長く過ごす場所を一番こだわりませんか?
コスパ重視ではなく、こだわりのある居心地の良い家で過ごすと人生が豊かになります。
この記事を見て、こだわりたいと思った方は是非信頼できる、考え方や感覚の合う設計事務所を探し相談してください。
人生をより豊かにしましょう。
笠井啓介
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