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吹き抜けはいる?いらない?

新築住宅を考えるときに、

「吹き抜けがある住宅」は憧れるけどデメリットを考えると…

吹き抜けがないほうが良いのでは?

という考え方が多いように感じます。

住まいの考え方によって賛否両論ありますが、吹き抜けは必要です。

吹き抜けは必要派の僕がなぜ必要か解説します。


目次

 

■よく聞くデメリット

・暖房の効率が悪くなる。

・構造が弱くなる。

・費用がかかる、使わない空間がもったいない。

・音漏れが気になる。

・吹き抜け部分の掃除が大変。

 

■よく聞くメリット

・デザイン的におしゃれ。

・開放感がある。

・明るい空間。

・近隣の目線を気にしない場所に窓を配置できる。

 

■あまり語られないメリット

・家族の距離感とコミュニケーション計画の幅が広がる。

・空気の質が家全体で均等になる。

 


■よく言われるデメリット

 

・暖房の効率が悪くなる。

 

北海道札幌市で設計事務所をやっていると、これが一番聞くデメリットだと思います。

確かに吹き抜け部分の体積が増えるので、暖房費は上がります。

では、住宅の計画をするときに熱源はしっかり考えていますか?

・プロパンガス

・都市ガス

・灯油のみ(IHコンロの場合)

・灯油+プロパンガス(ガスコンロの場合)

・オール電化

などありますが、この計画をしっかりすることが大事です。

 

まずプロパンガスは絶対おすすめしません。

 

・「吹き抜けがある住宅」の都市ガス(もしくは灯油)

・「吹き抜けがない住宅」のプロパンガス

 

上記2点で暖房費を比較した場合

「吹き抜けのない住宅」のプロパンガス利用の方が暖房費は高くなります。

そこを考えたうえで検討してください。

さらに床暖房にすると床から天井に熱が上がるため、効率良く家全体が暖まるのでおすすめです。

 

・構造が弱くなる。

 

柱や梁だけではなく床も構造の一部と考えるので、

どっちの構造が強いかと聞かれたら、床がある「吹き抜けがない住宅」の方が強いです。

ただ建築材料の質や構造の強化がどんどん上がっている現在、吹き抜けがあるなしで地震や台風の被害が変わることはないです。

もちろん、しっかりと構造の検討をすることは当たり前です。

 

・費用がかかる、使わない空間がもったいない。

 

費用は上がります。

床はないので外壁と内壁の面積が増えた分の建築材料費が上がります。

僕は他の費用を抑えてでも吹き抜けは必要だと思っています。

 

空間がもったいないと言う人もいますが「持ち家か賃貸か」の記事を参考にしてください。

コスパ重視なら別に賃貸でも良くないですか?

 

・音漏れが気になる。

 

これは考え方次第です。

僕はメリットとして考えています。

詳しくは後述の「あまり語られないメリット」で解説します。

 

・吹き抜け部分の掃除が大変。

 

これは僕が考える唯一のデメリットです。

吹き抜け上部に窓を配置することが多いですが、高い場所の窓ふきは大変です。

 

■よく聞くメリット

 

2枚の写真を比較してください。

僕が設計した住宅の写真と、

その写真を吹き抜けなしに加工した写真です。

どっちが良い?なんて聞く必要がないですよね。

小さな空間でも吹き抜けがあると、ゆったりとした空間になります。

上から光を入れることで近隣の目線を気にしない明るい空間になります。

 

・デザイン的にオシャレ。

・開放感がある。

・明るい空間。

・近隣の目線を気にしない場所に窓を配置できる。

 

これが良く聞くメリットです。

 

■あまり語られないメリット

 

・家族の距離感とコミュニケーション計画の幅が広がる。

 

住宅を設計するときに一番考えるのが、家族の距離感とコミュニケーション計画です。

 

・空間をオープンにして、どこで誰が何しているのか見える。

・部屋の光だけが漏れるようにする。

・人の気配だけ感じられるようにする。

・完全プライベートを確保する。

 

など打合せをしながら決めていきます。

吹き抜けを通じ各部屋がどう繋がるのかが大事です。

それを「音漏れが気になる。」と言われると困りますが…

 

2つの断面図を比較してください。

よくある「吹き抜けがない住宅」の断面図と「吹き抜けがある住宅」の断面図です。

このように家族の距離感とコミュニケーション計画を意識した設計が大事です。

 

断面図の重要性は「平面図だけでは分からない事」の記事で解説しています。

 

・空気の質が家全体で均等になる。

 

昔の住宅の押入は結露してカビが出る、なんて聞いたことはないですか?

これは換気計画が正しくされていないからです。

2003年に建築基準法が改正されて,計画された換気システムを設備することが義務になりました。

住宅の場合、第1種換気方法(給気、排気を機械で行う。)か、第3種換気方法(排気だけ機械で行う。)を利用します。

ドア建具の下にはアンダーカットといって1cmの、すき間があります。

これは住宅全体の空気の質を均等にして、外部に古い空気を排出するためです。

 

吹き抜けがあろうとなかろうと、空気は住宅全体を回すことが大事です。

その部屋だけを暖めるというのは古い考え方です。

そのことを考えると、「吹き抜けがある住宅」は、より空気の質が均等になり空気の淀みがなくなり快適な環境になります。

湿気も溜まらず家の寿命も延びます。

暖房費も吹き抜け部分の体積分は増えますが、その部屋だけ暖めるということではないので、考え方が変わると思います。

 

 

吹き抜けが必要な理由はわかりましたか?

せっかく建てるなら快適な居心地のいい住宅にしましょう。

 

笠井啓介

 


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