#4 住宅購入に関わるお金の闇を暴露

いきなりですが質問です。坪単価とは何でしょうか?

プロの僕でもよく分からないです。

坪単価、誰も正しく説明できないでしょう。

この曖昧な基準が住宅購入の際の一般的な基準になっています。

 

今回は、住宅購入に関わるお金の闇を暴露します。

 


目次

 

■坪単価の曖昧さ。

 

■住宅見積もりの適当さ。

 

■設計料はいくら?

 

■利益率とは?

 


■坪単価とは?

僕が設計した住宅の図面です。

仮に2,800万円の新築住宅とします。

この住宅の法律で定まっている延べ床面積は115.45㎡(34.92坪)です。

延べ床面積とは「外壁又は柱の中心線で囲まれた面積」を指し、

「吹き抜け、テラス、ポーチなどは含まない」ものとされています。

この基準で坪単価を計算すると2,800/34.92=坪単価80万円になります。

しかし坪単価を計算する時には、実は延べ床面積を使って計算していません。

延べ床面積ではなく「施工面積」という何の法的根拠もない面積を基準に計算しています。

施工面積は、各会社が独自に設定した基準です。

僕が設計した住宅の延べ床面積に、延べ床面積に含まれない「吹き抜け、テラス、ポーチ」を追加した面積は151.96㎡(45.97坪)です。

この基準で坪単価を計算すると2,800/45.97=坪単価61万円になります。

 

坪単価80万円と61万円、こんなにも差がでます。

会社によって延べ床面積に含まれない面積を全部入れる、2/3入れる、半分入れるなど基準はバラバラなのです。

税抜き価格で計算するか税込み価格で計算するかもバラバラです。

つまり坪単価なんて、いくらでも自由に調整できます。

こんな適当な基準を参考にして住宅購入しますか??

 

現場監督がたくさんの住宅を担当し、一件ごとの現場管理がいい加減になり、建築材料の全て外壁材、内装材、住設機器などを一番安いメーカー品を選べば安くなるのは当たり前です。

その住宅で会社がいくら利益を出して、購入した人が本当にお得だったのかは坪単価では分かりません。

 

しっかり現場管理してくれて、良い材料で会社の利益を最大限抑えた住宅の方が絶対良いでしょ?お得でしょ??

坪単価、こんな曖昧な基準で選ばないようにしましょう。

 

 

■住宅見積もりの適当さ。

 

・メーカー価格と仕入れ価格

建築材料は、メーカーのカタログの価格で仕入れるわけではありません。

メーカーごとにカタログ価格の50%など、仕入れ価格が決まっています。

これは一般には公開されていない価格です。

つまり50%で仕入れた価格をいくらで見積もりに書くかは自由なのです。

 

・余剰分計算

建設関係の見積もりは余剰分を含めた数量で計算します。

例えば30㎡の壁紙が必要な場合は10%多く仕入れたりします。

フローリングは必要数+1ケースで仕入れたりします。

これは現場で問題が起きた際に、すぐ対応できるためです。

ですが、この余剰分の割合に規定はありません。

余剰分30%で見積もりを出し、余剰分10%で仕入れるなんて簡単にできます。

ヒドイ会社になると何に何%余剰分を乗せているのか、担当者ですら答えられなかったりします。

とりあえず利益を確保するためにその都度、適当に余剰分を載せているからです。

 

・一式工事での価格表記

例えば「電気工事一式80万円」と表記があり、詳細が載っていないことがあります。

どこからどこまでが一式なのか不明な表記です。

 

上記3点のような適当な見積もりは、プロの僕でも正しいかどうか判断できません。

 

僕が工務店に見積もりを依頼する際、上記3点の問題をクリアするために一式工事の表記は禁止し、何㎡で計算したかを見積もりに表記してもらいます。もちろん仕入れ価格は分かっています。

そこまで指定した見積もりと図面とを、にらめっこしながら再計算し、間違いがないか確認します。

ここまでして、やっと正しいかどうか判断できます。

 

ちなみに、一般人がハウスメーカーや工務店に上記3点を問いただしても規則がないので「会社の規定通りの見積もりなので…」と誤魔化されるでしょう。。

 

 

■設計料はいくら?

 

ハウスメーカーや工務店で住宅の見積もりを取った時、設計料の項目がないことがあります。

つまり設計料としての請求は0円です。

設計料の項目があっても30~50万円くらいが多いです。

 

設計事務所は、設計料・工事監理料の価格は告示によって定められています。

(施工管理ではない工事監理については、 「正しい設計事務所の選び方」で詳しく解説しています。)

北海道札幌市は告示より安く、工事価格の10%くらいが標準です。

僕も10%を目安にしています。

2,800万円の工事価格の場合は280万円です。

高いと思いますか??

 

ハウスメーカーも工務店も、誰かが設計しているはずなのに何故0円にできるのか。

それは先述の通り見積もりをいくらでも誤魔化せるからです。

設計料を0円にしても10%どころか20%ぐらい簡単に上乗せできます。

2,800万円に20%上乗せすると560万円ですよ?

そんな適当な見積もりだったら、僕は怖くて契約できません。

僕なら明確な価格のほうが安心できます。

 

 

■利益率とは?

 

ハウスメーカーや工務店は、もちろん適当な坪単価や見積もりを指標に経営はしていません。

会社ごとに目標にしている「利益率」という指標があります。

一件ごとに何%の利益が出たかを必ず計算しています。

つまり利益率が分からないと、本当に価格面で「得したのか損したのか」は分からないです。

会社によって様々ですが、大手ハウスメーカーの利益率は40%が基準になっています。

会社の規模によって30%~40%が多いですが詳しくは聞いても教えてくれない基準です。

 

しかし設計事務所は明確な価格が出ます。

仕入れなどが無いので、設計料・工事監理料=利益だと思って良いでしょう。

先述しましたが、北海道札幌市の設計料・工事監理料は10%くらいが標準です。

僕も10%を目安にしています。

 

設計事務所経由の工務店で20%の利益率なら、設計事務所の利益も合わせるとトータルで30%の利益率です。

設計事務所経由の個人の工務店で15%の利益率なら、設計事務所の利益も合わせるとトータルで25%の利益率です。

設計事務所に住宅を依頼したら高くなると思っている人が多いですが、よく見ると決して高くないのが分かるでしょう。

設計事務所が高いと思う理由は、明確な設計料が出て誤魔化しがないからです。

 

ちなみに「とにかく安さを売りにしている住宅会社」よりはトータルの費用は設計事務所の方が高くなりがちです。

現場監督がたくさんの住宅を担当し一件ごとの現場管理がいい加減になり、建築材料の全て外壁材、内装材、住設機器などを一番安いメーカー品を選ぶような設計はしないからです。

上辺の価格ではなく内容を把握しましょう。

 

設計事務所の住宅は、一件ずつ「クライアントに合った唯一無二の住宅」を丁寧に設計し、材料も予算の限り最大限良いものを選び、建具などはオリジナルでデザインし、工務店からの見積もりは全て再計算で確認し、現場が正しく進んでいるか第三者として工事監理をします。

 

北海道札幌市は工事費用の10%が設計料・工事監理料の標準です。

工事価格が2,800万円の場合は280万円です。

高いと思いますか?

 

笠井啓介


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