パルダリウムとは亜熱帯雨林を再現し、植物と石や流木を水槽にレイアウトして楽しむものです。
2017年頃からアクアリウム雑誌で紹介され始め人気になりました。
ちなみに、同じ水槽レイアウトでも様々な楽しみ方があります。
パルダリウム以外の水槽レイアウトは下記のものがあります。
・アクアリウム→ 水の生態系のレイアウト。一般的な魚の水槽はこれに該当します。
・テラリウム→ 水と生態系のレイアウト+上部は水上熱帯植物のレイアウト。
(アクアリウム業界の分け方で、水を使わないコケテラリウムと言われるものもあります。)
・ビバリウム→ カエルやヤモリ、爬虫類などの水上の生体のレイアウト。
パルダリウムを初めて2年以上経過したので、作成手順や準備するもの、苦労した点や紹介したいと思います。
目次
■どの水槽ではじめるか。
■立ち上げ。
■様々な問題。
■300円以下で買える植物。
■どの水槽ではじめるか。
始めようとして調べていると、「排水」と「ミスティング」をどうするのかで価格がかなり違うことに気付きました。
パルダリウム導入前に最初に悩んだ点です。
パルダリウムは水槽内を常に多湿状態に維持しなければならないので、人の手で頻繁に霧吹きをするか、ミスト状の霧を発生させる装置が必要になります。
大量の水を噴霧することで、水槽に溜まった余分な水の排水が必要です。
ミスティング装置を利用する場合は、一般的にデジタルタイマーで噴霧回数や時間をコントロールして使います。
設定してしまえば後は自動で機械がやってくれるので、とても便利です。
・一番安く済ませるには、「排水と自動ミスティング無し」の「爬虫類用の前開き水槽」を使います。
有名な商品だと「GEXエキゾテラグラステラリウム3045」、8千円台で買えます。
排水は床材のソイルの下にチューブを通せる空間を作り、サイフォンの原理で溜まった水を抜くシステムを作る必要があります。
どのように始めるか考えているとき、2020年にタイミング良く「ADAのシステムパルダ」が発売されました。
従来のパルダリウムだと排水は水槽の外部に出し、自動ミスティング用の水も水槽の外部からポンプで汲み上げるシステム(下図)なのですが・・・。
ADAのシステムパルダだと全てが水槽内に収まっています。
排水は給水スポンジで吸い取り、自動ミスティングは水槽内のタンクから吸い上げるシステムです。
デメリットとしては、背面タンクとメイン空間の間にすき間があるためカエルやヤモリのような生態を飼うのには向いていません。
悩んだ結果、すっきりとした機能が気に入り「ADAシステムパルダ60」を買うことにしました。
札幌市内にある行きつけのプロショップ「BRIGHT GREEN」さんで取り寄せてもらいました。
■立ち上げ。
ADAのシステムパルダにしたのでソイル系もADA商品で揃えました。
底面に敷く軽石は「ジャングルベース」
ソイルは「ジャングルソイル」を選択。
照明は節約のためチャームの「アクロ TRIANGLE テラリウムアクアポニックス」を選択しました。
比較的安価な水上植物用の照明ですが明るすぎる難点があります。
葉焼けに注意が必要です。
パルダリウムで自動ミスティングするためにはスマホでコントロールできる「スマートコンセント」が便利です。
これも節約のためAmazonで売られている「LITSPED WiFi スマートプラグ」を選択しました。
2年以上経ちますが、とりあえず問題なく使えています。
ヒーターは地域にもよりますが札幌市のような寒冷地では必須です。
小動物用のパネルシートヒーター「ピタリ適温プラス4号」を選択しました。
パルダリウムと言えばモスグリーンのジメジメとしたイメージですが、
爽やかなライトグリーンの明るいイメージにしたく、全景草はパールグラスで背面草はオーストラリアンノチドメにし、様々な植物を買い、暇があればレイアウトを調整していきました。
こちらの思うように育ってくれず苦労したものです。
パルダリウム水槽に合わなかった蘭や大きくなりすぎたベゴニアは、鉢植えにして窓辺で元気に育っています。
■様々な問題
初めてのパルダリウムだったため様々な問題に直面しました。
さらにインターネットで調べても、まだまだ情報が少なく日々試行錯誤の連続です。
・最初に直面したのはカビ問題。
メインの流木の下部に細かく流木を絡ませレイアウトしましたが後日カビで撤去する羽目に・・・
メインはADAの流木ですが、節約のために細かい流木は安いものにしたのが失敗で、安い流木からどんどんカビが発生していきました。
カビ対策のため様々な薬を試しました。
パルダリウムをやっている人のほとんどはアクアリウムもやっていると思います。
強い薬を使うと近くにある水槽の生態に影響が出るので注意が必要です。
「ADAの侘び草ミスト」と「GEXのアクアテラキッド」は効果の実感なし。
僕のパルダリウム水槽には全く効きませんでした。
ホームセンターで買った野菜に使える食品原料のスプレー「ロハピ」も効果実感なし。さらに植物にダメージあり。
天然成分のお風呂用のカビ取り「コジットパワーバイオ」なんかも使いました。
最終的にたどり着いた一番効果を実感したのは「ヒバオイル」です。
しかし、バクテリアが時間とともに働き、カビが消えたとも考えられますので、あくまでも参考までに・・・。
落ち着いたのは立ち上げから半年経った頃でしょうか。
カビが落ち着いた明確な原因は分かりませんが、立ち上げから2年経過した現在まで、今のところ大きなカビ被害はありません。
最初のうちは変なキノコも生えました。
撤去する前の細かな流木組み
写真は買ったカビ対策の一例
・背面に植物が定着しない問題。
システムパルダは侘び草マットが付いてきます。
このマットは通気に優れた素材で植物の種類によっては定着しません。
ADAのレイアウトを参考にしてみると必ず侘び草マットに苔を定着させ水持ちを確保した上に植物を配置しています。
この方法でやらないと上手くいきません。
他のメーカーの商品だと通気性に優れた「EPIWEB(エピウェブ) 」の上に、吸水性に優れた「ハイグロロン」や「活着君」を重ねて付けています。
ADAでは吸水性の素材を付ける代わりに苔を利用しています。
他にも背面素材として「生け花に使うオアシス」や「盆栽に使うケト土」などが使われます。
背面素材はカビ対策の通気性と直物が定着するための吸水性のどちらもが必要になります。
写真は立ち上げ半年でも背面に植物が定着していない様子。
・小さな植物が飲み込まれる問題。
Instagramなどでよく見るレイアウトとして、ブセファランドラやクリプトコリネなどの小さな植物をたくさん配置しているものがあります。
それを参考に僕もブセファランドラやクリプトコリネを配置しましたが、小さな植物を入れる場合は小さい植物のみでレイアウトしないと他の植物に飲み込まれました。
僕の場合シダ植物やベゴニアなども配置したため、ブセファランドラに根や葉が覆い被さり、結局すべて撤去することになりました。
写真は飲み込まれる寸前のクリプトコリネ ルーケンス
・植物が大きくなりすぎる問題。
植物の最大サイズを踏まえたレイアウトが必要になります。
大きくなりすぎる一部のベゴニアやアグラオネマなどの植物はコントロールできなくなり撤去しています。
写真は大きくなりすぎた原種ベゴニアsp.U400
虫が発生する問題。
葉ダニとカタツムリ(スネール?)は今でも発生します。
最初のうちは薬などで駆除も試しましたが全く効果が無く、キリがないので今はもう割り切って共生することにしています。
強い薬を使わない駆除方法を知っている方は教えてください。
■300円以下で買える植物。
パルダリウムはたくさんの植物を入れる必要があり、全てを専門店で揃えると、とんでもない価格になります。
そのためホームセンター安く植物を買っては枯らす失敗を繰り返してきました。
インターネットの検索し出てきたパルダリウムに向いていると書かれている植物でも多く失敗しています。
その中でも2年経過し、しっかりと定着した植物を紹介します。
・シダ植物: ダバリア(別名ラビットフット)
太い根が広がるため注意が必要。定着はしますがコントロールが難しめ。
・シダ植物: ネフロレピス マリサ
細い根が広がり子株が増えていきます。コントロールが比較的簡単。
・ベゴニア各種:
原種系のベゴニアは高いですが品種改良されたベゴニアは安く買えます。
大きくなりすぎる品種もあるため注意が必要。
・フィットニア:
パルダリウム用として良く紹介されていますが、僕のパルダリウムだとあまり成長していません。一応枯れてはいないので載せておきます。
パルダリウムに興味を持った人やこれから始めようとしている人の参考にでもなればと思い、記事を書いてみましたが、僕もまだまだ始めたばかりです。
特に、北海道でパルダリウムをやっている人の情報が皆無なので現在も手探りで試行錯誤しながら楽しんでやっています。
カビ対策や虫害対策などについて、こんなの試してみると良いよ!というのがあったら是非教えてください。
最後に現在の姿です。
随時更新します。
笠井啓介
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